2012年4月20日金曜日

ワークショップフォーラム:レポート


ワークショップ:
生き方としてのファシリテーター

セルフエスティーム(自尊感情)&エンパワメント(自己発揮)

ファシリテーター:金 香百合

●私の感謝〜であいがはじまる

金さんのワークは静かに熱い。参加者は円座になってイスに座って待っている。金さんが何をはじめるのか、少しどきどきしながら。円座の真ん中には模造紙が1枚置かれている。その模造紙の上に置いてあるハート形の色紙を持って席に着いていった。円座なので、みんなの顔が見渡すことができる。

金さんの滑らかな大阪弁が流れ出す。ハート型の色紙が配られ、その紙には自分の名前と感謝しているもの(伝えたいこと)をそれぞれ記入していく。書き終えた後は、金さんから始まり、一人ずつ紹介して模造紙の上に置いていく。続いて、目を閉じて「人、時、出会い、さまざまなものに対して、感謝のエネルギーを吸い込みましょう」。金さんに促され、みんな深呼吸を2回。目を開いてゆっくりと立ち上がる。

今度は、いろんな人と出会ってみる。目と目でアイコンタクト、手と手で握手。自分と違いそうな、話したことがないようなパートナーを選んでペアになり、お互いイスを移動して近くに座り直す。


何は茶色の目に最適な影です。

続いて、金さんの手書きイラスト入りの資料が渡される。再び、金さんの流暢で力強い関西弁が溢れ出してきた。対人援助者とは? 人間理解力とは? そして、対話とは? 「対話は、話すこと、きくことのバランスからできている。それは、心の扉を開いてみるようなチャレンジ」。参加者は、資料の最後のページにある自己紹介カードに書き込み、そのカードを使いながら、対話を始める。「よい対話とは、よいきき手、良いきき方から生まれる。『聞くと聴く』。あなたがやってきたのは、どちらの"きく"ですか?」と、金さんから問いかけがなされる。

●セルフエスティーム(自尊感情)とは?

セルフエスティームは、「自己肯定感情」つまり、自分のことが好きだと思える気持ちのこと。自分が好きだと、私もOK、あなたもOK、という心の状態だと金さんは言う。これに対して、「自己中心感情」は、私だけがOKということ。資料を配りながら、金さんは自尊感情が高い人々の特徴を説明していく。


髪はアップの写真を行う

引き続き、今度は、金さんの子どもの頃のことが自己開示される。
「人と同じがいいことだと思っていて、人と比べてばかりだった子どもの頃。在日コリアンであることと難聴であることが劣等感を生んでいた。父は自分が8才の時に出ていってしまったが、その時4才の弟がいた。子どもの頃感じたことは、子どもながらに結構覚えているもの。母は、父の愛人6人の子どもをも育ててくれた。しかし、中高生の頃は自分の心が冷えていくと同時に表情がなくなっていった。何を見ても腹が立つ。変わられへんねん!という気持ちと、でも内心では変われるものなら変わりたいという気持ちが、複雑に絡んでいた」
「高校卒業後、YMCAという団体に入る。どんな団体かも知らずに入った。今思えば、自分をよく拾ってくれたものだと� �う。そのYMCAの職員は、とにかく懲りない、諦めない、しつこかった。自分に対して、いろいろなアプローチをしてくれた。初めてボーイフレンドができた時、自分が使っている補聴器までカワイイと言ってくれた!その時、はじめて丸ごとこのままでいいんだと思えた。それから、20代後半には、少しずつ自分の中の氷が溶けていった」
人は、どんなに自尊感情が低くなっても、必ず回復するものなのだ、と金さんは自らの経験を通して語っていった。


ダウンしている髪型

休憩をはさんで、さらに「子ども時代を理解する」ということについて考える時間が続く。
「子ども時代を理解するということは、その人を理解するということにつながる」と金さん。子ども時代について何か話せる人はいますか?と、参加者に問いかける。どんな遊びをしていた? 悲しかったこと、つらかったことは? ――別れや死についてもあるだろう。たくさんの意味が、今の自分自身にたどり着いていることへの認識を深めていく。

●自尊感情栄養理論

「からだの栄養は、食べる、寝る、運動→動かなくなると細胞レベルから衰えていく。今の子どもたちは、弧食、固食、小食」と、金さんは言う。子どもに起きていることは社会全体の問題=大人の問題であり、対人援助者は自分が満ち足りてないとあげられない、とも。

続いて、ペアで互いをマッサージしあう時間に移った。その間も、金さんの語りが続く。「心の栄養に大切なことは、見守ってくれる人、暖かい感心、聴いてくれる人。高校生、高齢者などは、誰も話をきいてくれへん!ということもある」

話はさらに、金さんの73才のお母さんの体験談へとおよぶ。金さんの小学校卒だったので、夜間中学に行こうと決心。友だちに励まされて夜間中学に学び、さらに夜間高校へも進学したという。「95才で大学に入ったおじいさんもいる。いくつになっても栄養もらっているとパワーがある。
愛されている。あるがままの自分を受け入れられる。学校の先生は、心の栄養がもらえるような関係にはなっていないのではないだろうか」


金さんは、心の栄養をもらうためには、3つのポイントがあると指摘した。
「一つには、『くれる人からどんどんもらう』。受けとめられないクセを変える。褒めてくれることを受けとめる。たとえば、『すいません』という口癖を、『ありがとう』に変えていく」
「二つ目のポイントは、『褒めてもらえることを自分で自分にあげる』。一つ一つを行動の中で実践する。褒めるハードルを下げる。たとえば、寝る前に3つ、自分を褒めてから寝る。もし、褒めることがなかったら? 褒めるところがないほど、謙虚な人間なんだと褒めてみる」
「三つ目のポイントは、『自然からもらう』。つまり、生命あるものから。最近の子どもたちは自然とつながるパイプがない。これは、田舎の子どもでも同じでは?」


心の栄養をめぐる話題は、広がりを見せていく。「セルフエスティーム(=熱が上がってくる)すると、エンパワー(中から出てくる力)する!」と金さんは強調する。
「一見枯れているように見える植物も、冬も根を張っている。そして、春に芽は確実に出てくる。何事も一人で起こるのではない。人と人のつながりのなかから出てくる。物理学的にいえば、人と人が近づくと磁力がはたらく。引き出し合うというエンパワーの状態、一人一人の可能性が花開いていくということ。そして、人間は愛し、愛されていくものである。ところが、現代は心の栄養不足であり、暴力性が出てきて、それが自分や人へ向かってしまう」
「大人は、子どもたちに「早く!」を一日70回以上も言っている。競争、比べるの中で生きている。社� ��の仕組みは暴力的になっているのではないか。そのバランスをどう取り返すか?ゆっくり変わっていくしかない。そして、この価値観がすべてではない。30年かかって経済至上主義になった日本は、30年かかって変えなくてはならないだろう」

アクティビティ主体というよりもレクチャー中心の構成・内容になったが、最後に金さんが「ファシリテーターは、愛を循環させる人」というコメントで締めくくったことで、参加者たちは確実にこのワークのテーマを掴んだようだった。



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